ライター:李宇衍(落成台経済研究所研究員、経済博士、慰安婦・徴用工問題専門)

ラムザイヤー氏

一昨日(3月7日推定)からホットイッシューのハーバード大学のMark Ramseyerの論文を読んだ。

鑑賞:
第一に、慰安婦研究者にとって引用できるような箇所はない。
第二に、論文が掲載されたジャーナルInternational Review of Lawand はSSCI 登載紙ではない。
不思議な点:
投稿されたのが昨年(2020年)8月29日、掲載確定が11月28日である。 3ヵ月しかかかってない。 国内(韓国)ジャーナルよりも速い。 海外SSCI級ジャーナルの場合、投稿から掲載確定まで3年かかる場合も多い。

期待に対する裏切り:
第一に、ジャーナルのタイトルやマスコミの紹介、抜き書きを読んで慰安婦に対してゲーム理論的アプローチであろう考えた。 例えば、ゲームモデルを作り、その結論として(solution)日本、業者、または慰安婦の行動を説明する論文ではないかと思ったが、そんなことはない。
第二に、新たな資料を発掘ㆍ利用したり、創造的なインサイトによって慰安婦が、なぜ性奴隷ではなく、性労働者なのかを説明するものと考えた。 これもまた、そんなものはない。 慰安婦が、なぜ性奴隷ではなく、性労働者かに対する新たな資料や別途の論理に関する記述は全くない。 “性奴隷(sex slave)”についてはそのような単語さえない。 他の説明なしに”売春婦(prostitute)”で始まり”売春婦”で終わる。 慰安婦も別にcomfort womenと使わず、ただprostituteと書く。

内容:
軍慰安所慰安婦は日本や朝鮮内の売春婦よりも危険な職業(job)だった。 軍慰安所に行けば、日本や朝鮮と違い命が危険にさらされることもあり、事業主の契約不履行時に警察や逃げ場がない。 事業主はもっとよい待遇で補償した。 (慰安婦)なる前に本人や親に与えられる、前借金(advance)は、国内の売春婦よりはるかに多く、義務的に働かなければならない最低契約期間ははるかに短かったし、本人によって発生する収入の枠組みの中で、自分と店主が分割する割合は国内に比べてはるかに有利、その結果、国内売春婦より軍慰安婦の収入ははるかに高かった。 また、業主はこうした慰安婦との契約を誠実に履行した。 軍慰安婦の契約はindentured-labor(年季奉公人)の契約と似ている。
終り

面白い箇所:
– 1924年、日本で公娼の許可を受けた売春婦は1日平均2.54人の男性を相手にした。
– 1934年、日本秋田にて公娼の許可を受けた売春婦は年間884円、不法(すなわち私娼)の売春婦の代名詞”酌婦”は518円。
– 1935年、朝鮮、朝鮮人、公娼の売春婦1,330人。 許可されていない売春婦を示すbarmaid(女給?)1,290人、cabaret worker(ダンサー?)6,553人。
– 1940年、上海。 日本軍慰安所で働く朝鮮人女性は12人。ところが、朝鮮人の無許可売春婦が527人。
-慰安婦たちが強盗に遇ったらどうする?、軍隊が撤退すれば、私のお金を持って行けますか? 私が死んだら、私のお金が家族に届くだろうか。 心配。それでビルマでは、各慰安婦に郵便貯金通帳を作ることにした。 ビルマラングーンの文·オクジュ 「私の人生で初めて貯金通帳の所有者になった」
“短い夜”は英語で”short stay”、”長い夜”を”overnight visit”とも言うんだね…

総合:
内容についてはすべて同意する. ただ、終戦前の2年間、軍需産業の労働力が急激に不足し、慰安所が衰退したと主張するが、論理的飛躍であり実証されず、同意できない。 上記のような内容であるから一つ一つの事実は私の考えである慰安婦=性労働者]と矛盾しない、下記の幾つかの事実は私には新しくて面白い。 ただし、全体として、論文というにはそれに見合う新しいものがないという話だ。 概ねよくできたサーベイ、しかし1次資料(すでに知られているが)も少し利用されたサーベイだ。 「韓国メディアがあまりにもおっちょこちょいだった。 博士課程のタームペーパーにしては よく出来たと言えよう。