ライター:Jin Kaneko

1970年8年14日付のソウル新聞が「1943年から1945年まで、挺身隊として動員された日本・韓国の両国の女性は全部でおよそ20万人。そのうち韓国人女性は5~7万人と推算されている」という記事を掲載した。この数字の根拠は明らかではない。この20万人は、挺身隊(労働動員数)で慰安婦ではない。これが原点と考えたのは、金英達さん(在日朝鮮人の運動史研究者)。
千田夏光は著書『従軍慰安婦―”声なき⼥”⼋万⼈の告発』(双葉社 1973年)の中で、これを引用して「『挺身隊』の名の下に彼女らは集められた。〈中略〉女子挺身隊に動員された女性20万人のうち、5~7万人が強制的に従軍慰安婦に従事した」と書き換えた(歪曲した)。
⾦⼀勉は、 『天皇の軍隊と朝鮮人慰安婦』(三一書房、1976年)の中で、前述の千田の著書を引用して、「『軍隊娼婦』に投げ込んだのである。その数(慰安婦にされた朝鮮人の数)を『推定20万』と挙げるむきもある」と、さらに歪曲した。これが「朝鮮人慰安婦20万人」の始まり。
挺対協の創設者の尹貞玉が「日本軍が10~20万人もの朝鮮の未婚女性を強制連行したと発言したのは、「朝日新聞」1991年7月18日付記事。尹貞⽟は1990年1月4日~24日に、『ハンギョレ新聞』に「”挺身隊”怨念のの⾜跡取材記」を4回にわたって掲載したが、この中で、⾦⼀勉の 『天皇の軍隊と朝鮮人慰安婦』を引用しているから、その著作の影響を受けたことが考えられます。
1996年10日18日に、韓国で「日本軍“慰安婦”問題の正しい解決のための市民連帯」が発足します。その結成趣意書に次のような記述があります。
「(日本政府が)犯罪の責任を認めず犠牲者の名誉回復と尊厳が尊重されない場においての金銭支給は、彼女たちの人格をもう一度踏みにじる行為だ。〈中略〉日本軍『慰安婦』制度は明確に人道に反する犯罪である。また朝鮮の娘たち、20万人あまりの人々を日本軍の性奴隷として連行し朝鮮民族を抹殺しようとした犯罪である。〈中略〉ハルモニたちを民族の懐で支え、不幸だった過去の歴史の傷をすべて同胞が治癒していこうと思う。日本帝国主義の汚らわしいお金で我がハルモニたちを再び傷つけないよう、我が民族の自尊心が愚弄されないよう、われわれが守っていくつもりである」(尹美⾹、「韓国挺対協は何を目指し、どのように闘ってきたのか」、『インパクション』168号、2009年、p.143)
1998年8月に、国連人権委員会差別防止・少数者保護小委員会で「マクドゥーガル報告書」採択さました。この報告の中に、「慰安婦20万のうち14万人以上の朝鮮人慰安婦が死亡した」という記述がなされた。

--「20万人」がどのように歪曲され、定着していったか。おおよそですが、理解できると思います。