映画”悪夢”
1968年に公開された韓国映画”悪夢”

1968年に公開された韓国映画。

当時、韓国で人気のしソンイルさんと尹ジョンヒさんの出演作品である。
在日朝鮮人が地上楽園だと騙され北送事業が開始された時期に、姜エリサはお父さんと弟三人がいざ北朝鮮に渡ってみたら言われた通りと正反対で騙されたことに気づく。
エリサは北朝鮮に渡ったときの歓迎者で人と恋に落ち厳しい生活の中でもその人に会える唯一の楽しみだった。そんな中お父さんは北朝鮮への不満を漏らし炭鉱へ強制移住、二人は厳しい生活に強いられ、エリサの恋人は韓国へスパイとして派遣され後に自首し対北放送を始める。その放送は韓国では自由の国家で自分たちは北朝鮮に騙されたと。その放送を偶然聞いたエリサ兄弟は韓国への脱出を試むが弟は射殺されエリサは捕まえる。そして島の警備を担当する責任者の助けでエリサは韓国へ脱出したとの内容である。
勿論、1968年頃に作られた映画だけにプロパガンダ要素は充分あると思う。しかし、当時の北朝鮮の実情をもとに作らた映画であり、70年代にはドラマでも似たような内容を見ながら反共教育を受けながら育った。と言っても多くの国民は政府が流す北朝鮮の実情をある程度知ることになったと言える。
しかし、これが日本になると全く話が変わってくる。日本にはそういう北朝鮮の情報が殆ど知られていなかったというから。
北朝鮮による日本人拉致事件や在日朝鮮人北送事業の資料を読んで行くうちに疑問に思ったのは、
北送事業は1950年代末から始まって1984まで行われた。日本が韓国と日韓国交を結んだのは1965年で、その以降日本の諜報機関は充分北朝鮮の実態を把握していたと推測できる。にも拘らず凍土の国へ在日朝鮮人は北へ送り続けられた。当時、在日朝鮮人や日本人妻たちは日本政府により見捨てられたと言えよう。今で言うと深刻な人権蹂躙とも言えようか!
どうしても在日朝鮮人が自分の故郷でもない祖国へ帰りたいならそれは日本政府としてもし方ないと言える。ただ、北朝鮮と何ら国交もない日本人妻たちを北朝鮮へ送ったのはどう考えてもあり得ないことであろう。今もそうであるが当時も国交もない国へ行き来できたのか?それが不思議に通ってしまったのが日本人妻の北朝鮮入国で有ろう。
なのに日本政府は今は奇麗事を言い続けている。人道的次元で云々と。
2000年代に入って北朝鮮により拉致された人たちが戻って来た時、マスコミは大々的にその内容を放送した。その中で、万景峰号が新潟港に入港すると多くの日本人政治家がその船に招かれ厚い待遇を受けたという。そこに招かれた日本の政治家たちは北朝鮮の舞姫たちが半裸で披露する踊りを官能しながら楽しい時間を過ごしていたんだろうか!
その瞬間も、北朝鮮に渡ってしまった日本人妻たちは血の涙を流しながら暮らしていたんだろう。
映画”悪夢”