国際労働機構(ILO)事務総長に立候補したカン·ギョンファ元外交部長官を支援するため、5億ウォンを超える予算と人材20人を投入したことが分かった。 康元長官は、このような政府支援を受けたにもかかわらず、たった2票を獲得するみすぼらしい成績で落選した。

公務員20人を動員して大規模TFを設置
19日、外交部と雇用労働部が国民の力のキム·ウン議員室に提出した資料によると、政府は昨年10月1日、カン前長官のILO事務総長職立候補事実を公開し、汎省庁タスクフォース(TF)を構成して支援するという方針を明らかにした。 以後、11月中旬頃に外交部12人、雇用部8人で構成された大規模TFが構成された。 外交部1人、雇用部2人は4ヶ月以上カン前長官支援業務だけを担当した。

TFは外交部3億5700万ウォン、雇用部1億6940万ウォンを合わせて計5億2640万ウォンの予算を使用した。 別途策定された予算がなく、関連部署の予算範囲で支出が行われた。 細部使用内訳を見れば「選挙支援のための出張費」(4億9,355万ウォン)が大部分を占め、「広報物製作」と「外部会議室使用料」等も含まれた。 該当期間、職員の給与まで考慮すれば、カン前長官の支援に10億ウォン余りの国の資金が使われたわけだ。

56票のうち2票獲得… 「最初から無謀な挑戦」
このような支援にもかかわらず、結果は悲惨な水準だった。 3月25日に行われた選挙で、康元長官は1回目で4票、2回目で2票を得るのに止まった。 ILO事務総長は理事会政府グループ正理事28ヶ国代表28人、労働者グループ正理事14人、使用者グループ正理事14人を合わせて計56人の表決で決定されるが、政府代表はもちろん労働者や使用者側全てから徹底した無視を受けたのだ。

問題は最初からこのような結果が予想されていたという点だ。 韓国は4月、ILO基本協約3ヶを遅れて批准したほど「労働後進国」に挙げられてきたうえに、カン前長官個人の労働関連経歴が皆無だったためだ。 民主労総は論評を通じて「彼の経験とビジョンはILO事務総長の職責とはかなり距離が遠い」とし、「横になる席を見て足を伸ばさなければならない」と批判することもした。 実際に事務総長に当選したジルベール·ウンボ国際農業開発基金(IFAD)総裁はILO事務次長を歴任し、他の3人の候補もやはりILOや労働部長官出身だった。

 

長官が退いた後、8ヵ月ぶりに… 「前任長官の礼遇ではないか」
姜元長官に対する支援決定は、外交部の例規によるものだった。 カン前長官は立候補当時、民間人の身分であり、ILO事務総長は個人資格で出馬し、当選者の国籍国家ではなく個人が職位を保有する席だ。 政府はこのような場合にも予算と人材支援に対する法的根拠を明確にするために2019年関連例規を制定した。 国際機関選挙調整会議という別途の手続きを新設し、△国家利益に寄与するものと期待される程度△当選の可能性△競合程度△その他選挙の立候補状況などを総合的に考慮して支援するかどうかを決めることにした。

外交部関係者は「労働関連経歴のない人事がILO事務総長に当選した前例があるだけでなく、カン前長官が当選する場合、アジア初であり女性初の事務総長になるという点まで考慮した決定だった」と説明した。

しかし、合理的な決定が行われにくい構造だったという見方もある。 ある労働界関係者は「カン前長官が外交部長官から退いた後、8ヶ月後に支援が決定されたが、選挙調整会議委員の大部分が長官時代に任命された人々だっただろう」とし、「前任長官に対する特恵性支援がなかったとは見難い状況」と話した。 関連例規がカン前長官在任期に制定されたという点もあいにくのことだという指摘が出ている。

これと関連して政府関係者は「結果が良くなかったのは残念な点だが、海外国家を見れば国際機関の首長を輩出するためにさらに多くの支援をする事例が多い」と説明した。

ユ·ファング記者redsun@hankookilbo.com

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