国民説得に乗り出した尹大統領··· 「現在と過去を競争させれば未来を逃すことになる」[尹大統領、対日外交]正面突破
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尹錫悦 大統領が21日、政府の対日外交路線と関連して事実上「対国民談話」に相当する内容を発表したのは、国民を説得する疎通努力が足りなかったという判断が作用した。 韓日過去史問題が数十年間繰り返されてきたし、陣営別に考えの違いが克明なだけに決断は電撃的に下すしかなかったが、国民の理解を求める努力は続けなければならないというのが大統領室の気流だ。 屈従外交攻勢を繰り広げる野党など反対陣営の宣伝·扇動により世論がさらに悪化する前に「未来」を話題にして火を消そうとする意図も含まれている。
尹大統領は同日、龍山(ヨンサン)大統領室で主宰した閣議の冒頭発言で、「過去は直視し、記憶しなければならない。 しかし過去に足を引っ張られてはならない」として「私は韓国政府が今や正しい方向に進んでいると確信する」と明らかにした。 それと共に「もし私たちが現在と過去を互いに競争させるならば必ず未来を逃すことになるだろう」。 (これは)自由に対する強い熱望と不屈のリーダーシップで第2次世界大戦を勝利に導いた英首相ウィンストン·チャーチルが言った言葉だ」と述べた。 尹大統領は生中継した冒頭発言の大部分を韓日関係に対する立場を明らかにするのに割いた。 特にこの日の冒頭発言はなんと23分間で短くは5分、長くても10分を越えなかった以前とは全く違った。
尹大統領は韓国政府が発表した強制動員被害者賠償解決法は野党が批判する「日本に対するばらまき」ではなく未来のための大国的決断であることを強調した。
尹大統領は「私は昨年5月の大統領就任以後、存在自体さえ不透明になってしまった韓日関係の正常化を悩んできた。 まるで出口のない迷路の中に閉じ込められた気分だった」として「しかし手を引いてただ見守ることはできなかった」と明らかにした。 続いてムン·ジェイン政府と現野党の「反日」政策を批判し「昨今の厳重な国際情勢を後にして私まで敵対的民族主義と反日感情を刺激して国内政治に利用しようとするならば、大統領として責務を背くことになると考えた」と話した。
尹大統領は朴正熙(パク·チョンヒ)、金大中(キム·デジュン)元大統領ら元大統領の韓日関係改善努力に言及し、これは未来のための避けられない選択であることを力説した。 また、岸田文雄日本首相が追加謝罪発言をしなかったことに対する立場を明らかにした。 尹大統領は「日本はすでに数十回にわたって韓国に過去史問題に対して反省と謝罪を表明している」とし「この中で最も代表的なのが日本が韓国植民地支配を別に特定し痛切な反省と心からの謝罪表明をした1998年の『金大中·小渕宣言』と2010年の『菅直人談話』だ」と述べた。
尹大統領の対日外交路線には尹政府の決断が「国際法を遵守する先進国の姿勢」、「感情よりは理性的決断」、「韓日関係改善は米国との共助強化踏み台」という判断が作用したものと見られる。 国民の反日感情を意識して何もしなければ先進国への跳躍は難しいということだ。 韓日関係梗塞の発端となった2018年韓国最高裁の強制動員関連判決が国際法に照らしてみた時、無理な側面があると見る内部見解もある。
最高裁は2018年確定判決で韓国が日本から5億ドルの有·無償資金を受け取った1965年韓日請求権協定と関係なく被害者個人の請求権が依然として有効だという判決を下した。 だが、パク·ジョンヒ、ノ·ムヒョン政権は1965年の協定により個人請求権が消えたと見て韓国政府が単独で被害者側に賠償をした。 国家間協定を無効化する判決は国際法に反するというのが大統領室の見解だ。 特に被害者個人の請求権を認めた他国の場合、韓国と違って国家間賠償がなされなかった点を指摘している。
尹大統領はこの日、「中国の周恩来首相は1972年に日本と発表した国交正常化北京共同声明で、日中両国人民の友好のために日本に戦争賠償要求を放棄すると述べた」と言及した。
尹大統領は冒頭発言で、日本との協力がもたらす経済的利益と韓日米協調強化による安保上の利益を列挙した。 それと共に「国民の皆様、今は日本に堂々と自信を持って接しなければならない」、「私たちは歴史の新しい転換点に立っている」、「私は賢明な韓国国民を信じる」として感情に訴えたりもした。
しかし、尹大統領が野党を狙って「排他的民族主義と反日を叫びながら政治的利益を得ようとする勢力」と批判するだけで、野党指導部に会って訪日の成果を共有するなど説得しようと努力していないという指摘も一部から出ている。
李賢美(イ·ヒョンミ)記者 engine@segye.com
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