河野外務大臣会見記録
(令和元年7月2日(火曜日)12時24分 於:本省会見室)

会見動画⇒https://youtu.be/mja8u__5xMQ

 

▶韓国向け輸出管理の運用の見直し

【NHK 奥住記者】韓国について伺います。韓国への輸出規制について日本政府は対抗措置ではないというふうに説明していますけれども,韓国側はそういうふうに受け止めていないと思います。対抗措置ではないという理屈について教えていただきたいのと,また,韓国はWTOへの提訴の構えも見せていますけれども,どのように対応するか,そしてこの問題が外交関係に影響が出ていることについての受け止めと併せて教えてください。

【河野外務大臣】対抗措置ではないということは,きちんとご説明をしなければならないと思っておりますが,長嶺大使,あるいは本省でも,それぞれ外交当局間でそういう説明をしてきているところでございます。
この輸出管理に関しては,規制当局間での意見交換・情報交換がしばらくできていないという中で,この輸出管理制度の現在の運用を維持していくのがなかなか難しいということが,規制当局であったということなんだろうと思いますが,この輸出管理について様々,通常のスタンダードから優遇的にしていたものを,この意見交換ができないというようなこと,あるいは不適切事案があったということから,通常モードに戻そうということですから,何か劣悪な環境にしようということではありませんし,我が国のこうした貿易に関する規制当局は,WTOルールに基づいたこと,WTOのルール内で認められていることしかやりませんので,そもそもWTOの提訴の対象になるとは思っておりません。

【時事通信 越後記者】関連して伺いますけれども,いま規制当局間で意見交換ができないというふうに説明されたのですが,それはいつからいつまでの間の話であるのかということと,こちらから何か対話を求めて,それに韓国側が応じなかったという理解でよろしいのかということが1点。もう1点は,不適切事案というのはどういった事案だったのかご説明いただけますでしょうか。

【河野外務大臣】それは経産省にお問い合わせいただきたいと思います。個別の企業の案件は,おそらく経産省でも対外的には申し上げられないかと思いますが,それは経産省の当局にお尋ねいただきたいと思います。

【時事通信 越後記者】これは基本的に経産省の話だとは思うんですけれども,当然外交関係に影響を与える話でもあるので,事前に相談説明等々はあったと思うんですが,その際に外交当局としてはどのように意見を述べられたのでしょうか。

【河野外務大臣】経産省から当局間で様々情報交換が行われていて,その結果,こういう措置をとらざるを得ないということになったと承知をしておりますが,今,日韓様々な問題がある中で,きちんと切り離すものは切り離して,それぞれしっかり対応できるようにしてまいりたいと思っております。

【読売新聞 梁田記者】関連なんですけれども,日本政府はそもそも,韓国のいわゆる徴用工問題に関する判決が出た時点で,これが国際法違反の状態であるというように説明してきました。その国際法違反の状態に対するカウンターメジャーという訳ではないというご認識なのかというのが1点。

【河野外務大臣】そのとおりです。

【読売新聞 梁田記者】もう1点,切り離すものは切り離してということで,恐らく,今,仲裁プロセスの方も進んでいるので,そちらの方を念頭に置かれてのご発言かと思いますが,そちらについてはどのように対応するお考えでしょうか。

【河野外務大臣】「切り離して」と申し上げたのは,この輸出管理規制とかあるいは保健・衛生の問題とか,全く別の問題と旧朝鮮半島出身労働者の一番,今,日韓両国政府が頭を悩ましている問題と混同されないよう,気をつけてやらなければならないというふうに思っております。旧朝鮮半島出身労働者の問題は,これは先般も康京和(カン・ギョンファ)外交部長官と意見交換をG20の夕食会の後,行いましたけれども,これはこれで外交当局間でしっかり意思疎通をしていこうということにしておりますので,この問題についてはしっかりと外交当局間,難しい問題ではありますが,解決に向けてしっかり前進をさせていきたいと思います。

出典:外務省ホームページ

https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/kaiken/kaiken4_000844.html?fbclid=IwAR3bHa0AiHQypT43X61JDJz_vg1Noqtb1abqjk2SWYVNSZvlsrfrOjVBlKI