韓米防衛費分担金特別協定(SMA)に向けた交渉で米国はこれまでの5倍に相当する防衛費負担を韓国に求めているが、これに韓国が応じない場合に備え、トランプ政権は在韓米軍の一個旅団を撤収する方向で検討を行っていることが19日(現地時間)までに分かった。米国は従来の5倍となる50億ドル(約5400億円)の分担金を韓国に要求しており、これに韓国は強く反発している。

交渉についてよく知るワシントンのある外交筋は19日「韓国との交渉がトランプ大統領の思惑通り進まない場合、1個旅団の撤収を準備していると聞いた」と述べた。しかし米国が撤収を検討する旅団の任務やその規模についてはまだ分からないようだ。米軍の1個旅団とは3000-4000人に相当し、この程度の削減であれば米議会が2019年に国防主権法で定めた最低限の規模にも抵触しない。

米議会は2019年度の国防主権法などを通じ、現在およそ2万8500人の在韓米軍を2万2000人以下に削減することを禁じている。しかしこれは逆に言えば現在の在韓米軍から最大で6500人を削減できるという意味にもなる。

米国のエスパー国防長官も19日、韓米防衛費分担金交渉の決裂に伴う在韓米軍撤収の可能性について問う質問に「推測はしない」としか述べなかった。フィリピンを訪問中のエスパー長官はこの日行われた共同記者会見の席で「防衛費交渉について、やるかやらないか決まっていないことについて予測とか推測はしない」と述べた。これは「もし韓国と米国が防衛費分担金交渉で決裂した場合、次の決定は何か」という質問に答えたもの。エスパー長官は「韓国は富裕な国だ」「もっと貢献できるし、貢献すべきだ」と改めて主張した。

エスパー長官の19日の発言は、今月15日の韓米安保協議会(SCM)後に発表された共同声明の内容とそのニュアンスにかなりの違いがある。15日の共同声明には「安全保障政策における現在の状況に基づいて在韓米軍を今の水準で維持することと、戦闘準備態勢を向上させるという公約をエスパー長官は改めて確認した」との内容が盛り込まれていた。とりわけエスパー長官の19日の発言は、同じ日に韓国で開催された3回目の防衛費分担金交渉がわずか80分で決裂した直後、1時間もしないうちに出た。

今年初めの時点でワシントンの識者たちは「米朝交渉の際にトランプ大統領は在韓米軍を削減するのではないか」などと懸念していた。しかし今回、同盟国である韓国との防衛費分担金交渉で韓国への圧力カードとしてこの問題が取り上げられると「同盟国の危機を無用に高めている」などの批判も出ている。

ワシントン=姜仁仙(カン・インソン)特派員

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