韓国最高裁は収賄などの罪に問われたイ・ミョンバク(李明博)元大統領について、上告を退け懲役17年の判決を確定。保釈されていたイ元大統領は近く再び収監される見通し。

韓国で2013年まで5年間にわたって大統領を務めたイ・ミョンバク被告は、自身が実質的に所有していた自動車部品会社の訴訟費用を、財閥系企業のサムスン電子に肩代わりさせ、見返りにサムスン電子の会長に恩赦を与えたなどとして、収賄や横領などの罪に問われていた。

2018年の1審では、懲役15年などの判決が言い渡され、2020年2月の2審では、イ元大統領が受け取った金額について1審よりも多く認めて量刑を重くし、懲役17年と罰金130億ウォン、日本円でおよそ12億円、それに追徴金57億8000万ウォン余り、日本円で5億3000万円余りが言い渡されていた。そして今回の判決で最高裁は「2審の結論に誤りはない」として、双方の上告を退け、懲役17年などの判決が確定した。これで、韓国の歴代の大統領経験者のうち、刑事事件で起訴されて実刑判決が確定したのは、チョン・ドゥファン(全斗煥)氏と、ノ・テウ(盧泰愚)氏、そして、パク・クネ(朴槿恵)氏に続いて、4人目となる。この背景として、2009年に前任のノ・ムヒョン(盧武鉉)元大統領が、親族の不正資金をめぐる事件で、検察の事情聴取を受けてから3週間後に自殺し、韓国国民に大きな衝撃を与えた事件がある。ノ・ムヒョン元大統領の最側近だったムン・ジェイン(文在寅)大統領は、著書などでイ政権下でのノ氏に対する捜査を批判してきたことから、韓国では、ムン政権の発足直後から、イ元大統領への捜査が進められるという見方が出ていたのである。このため、検察が裁判所に逮捕状を請求した際、イ元大統領の事務所は「政治に左右される検察をはじめ、国家権力が総動員されて行われている『イ・ミョンバク殺し』だ」などと強く反発していた。

 

李明博元大統領に懲役17年 横領と賄賂の罪、実刑確定:朝日新聞デジタル