まとめ:李宇衍(経済博士、洛星台経済研究所研究委員)

李宇衍氏、ジュネーブにて

韓国にて元慰安婦に対する金銭的支援をしたのは1992年が初めてだ。 挺身隊対策協議会(政対協、現正義記憶連帯)は、国民募金によって1人当たり250万ウォンを支給した。 韓国政府による支援はその翌年から始まった。 生活支援金という名で一時金500万ウォンと毎月15万ウォンずつを支給した。 一時金はその後急速に増加して4,300万ウォンに達し、月額支援金も147万4千ウォンとなった。 その他に必要な場合は、年間最大1,800万ウォンの看病費と984万ウォンの治療費が支給される。 以上は中央政府からの支援で、地方自治体は昨年までの毎月20万ウォンから85万ウォンまでの支援金を別途支給している。

1997~8年には、日本の「女性のためのアジア平和友好国民基金」から一人当たり200万円(約1,500万ウォン)の慰労金が支給された。 日本首相の謝罪の手紙も添えた。 名前が「国民基金」で、日本で実際に募金も行われたが、実は日本政府のお金だった。 募金は6億円にすぎず、日本政府が出資した拠出金と補助金が48億円だったからだ。 韓国で、この金が、日本の民間の金という誤解が広がって多数の元慰安婦たちが慰労金の受け取りを拒否したのは、挺対協の煽りがあったからである。 挺対協は、このカネが日本政府のお金じゃなく、正式に賠償もなく、公式謝罪もないと主張し、慰労金と謝罪の手紙を受領した元慰安婦たちを批判して、他の元慰安婦らに償い金を受領しないよう促した。

日本の国民基金設立と元慰安婦に対する慰労金の支給を肯定的に評価していた金泳三(キム・ヨンサム)政権と異なり、金大中(キム・デジュン)政府は、挺対協に追従し、国民基金の事業に対する否定的な態度に急旋回した。 韓国政府が公式に挺対協に振り回され始めたのは、この時からだろう。 金大中(キム・デジュン)政府は元慰安婦だったことを申告した186人に国民基金の慰労金よりはるかに多くの3,800万ウォンずつを支給し、国民基金慰労金の受領者にはそのお金を支給しないと決定、発表した。 挺対協が国民から募った500万ウォンも、これに追加された。 とにかくこれを通じて元慰安婦たちは二番目に大金を手にした。 国民基金から受け取ったり、韓国政府から受け取ったためだ。

所謂慰安婦像

三回目は2015年の韓日慰安婦問題の合意によって設立された[和解治癒財団の治癒金だ。 朴槿恵(パク・クンヘ)政府と安倍内閣はこの問題を”最終的且つ不可逆的”で解決するということで合意し、日本政府が10億円全額を出資して韓国で同財団が作られ、元慰安婦たちに1当たり1億ウォンの金額が支払われた。 挺対協は、今回も公式的な賠償でないとして、朴槿恵政府を糾弾した。 元慰安婦たちには”その金をもらえば売春婦になる”、治癒金を受け取らないように”説得”したという。 このため、関係者たちが病院に入院した元慰安婦に集団で押しかけたともいう。 それにもかかわらず生存した元慰安婦の多数が治癒金を受け取った。 当時の生存者数は47人で、少なくとも34人、最大37人がこの金を受け取った。 治癒金を受け取らなかった人には、挺対協が募金したお金で1億ウォンずつ支給した。 今回もすべての慰安婦たちが大金を受け取った。 和解治癒財団から受け取ったり、韓国国民から受け取ったものだ。

去る1月8日、ソウル中央地方裁判所第34民事部の慰安婦判決の原稿はすべて12人だ。 そのうち6人が和解治癒財団から1億ウォンずつの治癒金をすでに受け取ったという。 残りは国民義捐金として1億ウォンを受けただろう。 そんなことはないが、もし日本政府から1人当たり1億ウォンずつの損害賠償金を受け取ることになったら、これで4度目になるだろう。 今回の訴訟は韓国仏教曹渓宗で設立した慰安婦共同生活施設である[ナヌムの家に係わる人達が原告になったという。 1月13日にはその有名な挺対協関連の慰安婦20人が原告になった訴訟の判決が予定されていたが、不明な理由として判決が3月に延期された。 すでに1億ウォンを受け取ったことは、1月8日の判決の訴訟と同様だ。 この裁判も1月の判決と同様、日本政府に対するものであり、韓日合意後の2016年に始まった裁判である。 この裁判でも元慰安婦たちが勝訴すれば、生存している慰安婦らとすでに死亡した慰安婦の家族が全員訴訟を始めることができる。 多数が訴訟に乗り出し、少なくとも高額の損害賠償を求めるだろう。

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