バングラデシュとネパール出身の低賃金移住労働者たちがこの10年間、ワールドカップ開催地であるカタールで働き口を探すために数十億ドルの就職斡旋料を払ったことが分かったと英国日刊ガーディアンが先月31日(現地時間)報道した。

このメディアはカタールに移住したバングラデシュの人々が2011年から2020年の間に15億ドル(約1兆8千億ウォン)から多くは20億ドル(約2兆4千億ウォン)を騙されたと見た。

またネパール人は2015年半ばから2019年半ばまでの4年間で3億2千万ドル(約3千900億ウォン)、多くは4億ドル(約4千900億ウォン)程度を出したと推定した。

この数値は2014年から2022年まで数多くの人権団体と労働専門家たちが報告した就職斡旋料と関連費用などに基づきこのメディアが計算し労働人権団体が確認したものだ。

南アジアとアフリカ移住労働者を含む場合、この規模ははるかに高いと推定される。

11月カタールW杯開幕を控えた今回の調査結果は、W杯関連建設とホテルプロジェクトに雇用された人員を含め、世界で最も貧しい労働者に対する搾取規模を表わすとガーディアンは評価した。

報道によると、カタールには200万人の外国人労働者が働いている。

彼らのうち3分の1をバングラデシュとネパール出身が占めているが、彼らは1人当りそれぞれ3千~4千ドル(約360万~約490万ウォン)、1千~1千500ドル(約120万~180万ウォン)程度を就業斡旋料として通常支給している。

バングラデシュ移住労働者は月に275ドル(約33万ウォン)しか稼げないため、このお金を返すためには少なくとも1年は仕事をしなければならないとメディアは伝えた。

このような就職斡旋料はカタールでは不法であり、バングラデシュとネパールでは最高限度を超過したものだが、慣行的に行われている。

カタールにある会社やブローカーと労働者送出国の採用エージェントが移住労働者に本人採用に対する費用を多様な形態で強要している。

出国前に採用エージェントに支払うこのお金を用意するために労働者は高金利の貸出を受けたり土地を売ることになる。

借金を全て返す時まで働き口を離れることができないので、彼らは債務に縛られ「現代版奴隷」になるとガーディアンは指摘した。

移住労働者が死ぬ場合にも就職斡旋料のために借りた債務は家族が抱え込むことになる。

にもかかわらず、数十万人のバングラデシュとネパールの労働者たちが湾岸とその近隣地域で働き口を探している。

これは故国の働き口不足と低賃金が主な原因に挙げられる。

危険だということは知っているが、長期的には借金を返済できると見て費用を支払っているということだ。

カタール建設現場で働き口を得たある労働者はネパールカトマンズ国際空港出国場で電話上で幼い息子に別れの挨拶をしながら「私の子供たちを離れることになって悲しい。

『行きたければお金を出せ』とエージェントが言ったので、私は15万ルピー(1千230ドル)を払った」と話した。

カタール当局はこの問題解決のために2018年から8ヶ国に採用センターを開設したが、就職斡旋料は採用過程上初期に支払うため、センターが就職斡旋料支給を制限するには特別な役割を果たせなかったとガーディアンは報道した。

ワールドカップ地域組織委員会の場合、2018年に競技場建設契約を締結した企業等に勤労者たちの就職斡旋料を償還できる制度を導入した。

これにより、企業は4万9千人の労働者に2千850万ドル(約350億ウォン)規模の補償を約束し、このうち2千200万ドル(約260億ウォン)が返済された。

しかし、この恩恵を受けた労働者はごく一部に過ぎないうえ、大半は就職斡旋料のうち、一部だけが補償された。

さらにこの制度はホテル建設部門に勤める移住労働者の場合は該当しないとこのメディアは伝えた。

カタール政府は最近、24の採用エージェンシーが廃業し、免許が取り消されるなど、不法採用慣行に関わった企業が厳しく処罰されたと明らかにした。

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