金正恩氏「賭博」一発で···餓死直前、北朝鮮国民の「10年食糧費」を飛ばした

北朝鮮が新型発射体である「千里馬1型」と軍事用偵察衛星だと主張する「万里鏡1型」を作るためにどれほどの資金をつぎ込んだのかは正確に推算し難い。 ただ、これを間接的に比較できる根拠はある。
(韓国)政府は最近、打ち上げに成功した韓国型発射体ヌリ号(KSLV-Ⅱ)の開発に向け、この12年3ヵ月間、約2万人を投入した。 これに投入された公式予算は1兆9572億ウォン(14億9290万ドル)だ。 またヌリ号の打ち上げ成功に続き、11月を目標に偵察衛星1号機を打ち上げる計画だ。 高性能映像レーダー(SAR)が搭載された衛星4基と電子光学(EO)·赤外線(IR)搭載衛星1基など偵察衛星5基を確保するこの事業に投入された予算は1兆2000億ウォン(9億1533万ドル)だ。
両事業予算の単純合計は3兆1572億ウォン(24億823億ドル)に上る。
先端技術の保有水準や社会·経済体制、政府の支援方式、経済的インフラ、人件費などあらゆる面で南北が極端な差があるが、自主開発した発射体と衛星を活用するという点で韓国政府が推進する該当両事業は今回北朝鮮が挑発に動員した体系と類似した側面がある。
ところが、3兆ウォンを超える予算は、北朝鮮とは比べ物にならないほど大きい韓国の経済水準を考慮しても負担となる。 事実上、無賃金で人材を運用することができ、韓国よりはるかに少ない費用がかかる可能性が高いという点を勘案しても、経済水準が著しく低い北朝鮮にこれだけの金は国家全体を揺るがすほどの負担になりかねない。
特に北朝鮮は現在、深刻な食糧難に苦しんでいる。 米農務省が発刊した「世界食糧安全保障評価」報告書によると、昨年北朝鮮の食糧不足分は121万トンに達した。 米農務省は、今後も北朝鮮が毎年平均80万トン程度の食糧不足状況を続けるものと予想した。
北朝鮮が80万トンの食糧を海外から買い入れる場合、毎年3647億ウォン(2億7800万ドル)が必要だ。 西海上に墜落し空中に飛ばされた千里馬·万里鏡を作るのに投入された資金で食糧を買ったとすれば、少なくとも今後10年間発生する北朝鮮住民の飢えを全て解決できたという意味になる。
北朝鮮はすでに昨年続いた無差別挑発で莫大な資金を使った。 韓国国防研究院(KIDA)によると、北朝鮮が昨年1年間発射した73発の弾道ミサイルに使った費用は7200億ウォン(約5億6000万ドル)に上る。 昨年、北朝鮮の1年間分の食糧不足分120万トンを買っても残る金額だ。
このような状況で、北朝鮮は事実上7回目の核実験を予告した状態だ。 やはりKIDAが推算した資料によると、すでに過去6回の核実験過程で少なくとも11億~16億ドルの金を使い、追加核実験にまたどの程度の金を投入するかは推定し難い。
政府当局者はこれと関連して「核実験のためには核実験自体に投入される資金だけでなく、核施設を維持·管理する費用も莫大に投入される」とし「北朝鮮が核·ミサイルを『宝剣』と考えているが、経済的観点からは北朝鮮政権をむしろ締め付ける構造だ」と述べた。
北朝鮮はさらに、今回失敗した偵察衛星と関連して「部分試験を経て、できるだけ早い期間内に第2次発射を断行する」と明らかにした。 これにもまた莫大な資金が投入される。
慶南(キョンナム)大学極東問題研究所の林乙出(イム·ウルチュル)教授は「大陸間弾道ミサイルと核技術を保有しても偵察衛星がなければ事実上無用の長物に近いという点で、北朝鮮政権が期間を最小限に短縮し、第2次打ち上げを強行するものとみられる」とし「特に金正恩政権が今回の衛星打ち上げを経済的困難による民心離反を防ぐための政治扇動の側面でも活用してきたため、深刻な経済難とは関係なく再び金をかけて発射を強行する可能性が高い」と展望した。

姜泰和(カン·テファ)記者thkang@joongang.co.kr
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